建設業許可申請や事業年度終了変更届、経営事項審査などで必要となる財務諸表の作成は、建設業法に基づきます。
作成するには法人の確定申告決算書や個人の青色申告決算書、白色申告収支内訳書などがベースとして使用されますが、建設業の特性に合わせて勘定科目の金額を再編成する必要があるので要注意です。
法人の建設業許可用の財務諸表作成について
法人建設業者の確定申告決算書は法人税法に基づいていますが、建設業法によって財務諸表の形式が定められています。そのため、財務諸表には単純に決算書の金額を転記するだけでなく、特定の勘定科目への再編成が必要です。
例えば、建設業に特有の勘定科目には以下のようなものがあります:
- 「売掛金」 → 「完成工事未収入金」
- 「買掛金」 → 「工事未払金」
- 「仕掛品(棚卸資産)」 → 「未成工事支出金」
また、一般管理費として計上されている工事原価がある場合もあります。これは法的には問題ありませんが、工事を行っているにもかかわらず工事原価が見当たらない場合は異常ですので、注意が必要です。
このように、勘定科目が同じであっても、財務諸表に転記する際には適切な再編成が必要です。法人用財務諸表の作成にあたっては、財務諸表の記載要領及び勘定科目の分類に従い、金額を転記します。
財務諸表の書き換えとは少し別の話になりますけれども,工事を請け負っているにもかかわらず完成工事原価報告書の中に含まれる「労務費(現場の作業員に支払う給料や賃金手当などを指します。)」がゼロというのもあり得ません。会計事務所さんの税務上の仕訳的には問題なくても,建設業許可の観点では矛盾が生じる場合もありますのでふさわしく振り分ける必要があります。
個人の建設業許可用の財務諸表作成について
個人建設業者の確定申告書には青色申告と白色申告がありますが、これらは所得税法に基づいています。しかし、建設業では法人と同様に財務諸表を作成する必要があります。
個人の場合も、法人と同様に勘定科目を確認し、金額を転記します。ただし、個人の申告書には詳細な明細がない場合もありますので、注意が必要です。
建設業の財務諸表作成には、建設業法や税法の規定に加えて、業界特有の勘定科目や取引内容を考慮する必要があります。お困りの際は、専門家に相談することをお勧めします。